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小品鉢植専門店で、半完成木や完成木を購入して楽しむことも、購入後の培養管理、手入れ技術さえあって、勢いと樹形の維持ができれば、当然ひとつの楽しみ方といえるでしょう。 この場合は、鉢植を観賞して楽しむことが購入したその時点からできるかわりに、費用もかかることになります。 どんな趣味の世界でも同様かもしれませんが、始めるときに本筋のものに出会うことが、その後の趣味の深まりを左右することが往々にしてあります。 以上のように、小品鉢植を始める場合、あるいは新しい素材を得る場合、費用と観賞までの時間はほぼ反比例すると考えられます。 ご白分の懐具合と相談して、さてあなたは、どこから小品鉢植を始めますか?。 鉢植の小品とは 小品鉢植が普通鉢植と異なる点は、文宇どおりその大きさが小さいことです。 一般に、小品鉢植の特質および利点として、大きい鉢植よりも手軽に楽しめる、また、ベランダや小さな庭でも楽しめるということが挙げられています。 たしかに普通鉢植に比べ、その種木は比較的安価に入手できますし、大きい鉢植がひとつ置けるスペースで、小品鉢植なら十も十五も並べることができます。 しかし、この手軽さはあくまでも小品鉢植の経済的・環境的条件であり、鉢植をつくり維持管理するという側面から見た場合、けっして手軽であるとはいえません。 むしろ、普通鉢植に比べもっと手間隙がかかり、難しいものであります。 鉢植は人が創るものである以上、白然の樹木の形や、それから受けるイメージを大切にし、また参考にしても、白然の樹木そのままではない、鉢植態としての美しさが要求されます。 鉢植としての美しさと白然の樹木の美しさは本質的に異なるものです。 その鉢植としての美しさを、生きている樹木を用い、造形するとき、その大きさが小さくなればなるほどより繊細さが要求されます。 仮りに樹高五mの自然樹のイメージを、樹高五〇㎝で表現するのと樹高十㎝で表現する場合を考えてみます。 本来五mにも生長する樹木を五〇㎝の樹高で再現しようとすれば、かなり困難がともないます。 植物としての本来の生長の度合いは、遺伝的に決定されていますから、培養と整姿・剪定によって人為的にコントロールしなければな17ません。 これをさらに小さく十㎝で表現しようとすれば、その困難さはいっそう深くなるはずです。 |