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クロマツの葉の長さを短ぐする方法が発見され、今日の黒松鉢植には見事な樹形美と調和した葉をもったものが見られるようになりました。 これは、クロマツの葉の一年間の生長サイクルを、切り戻しながら数度に分けることによって行うものです。 しかし、この方法は本来の勢いを1時的にしろ損うものである以上、限界があります。 まして、小品鉢植にしようとすれば、その葉の長さを樹形と調和させることはかなり困難になります。 葉の長さに限界があれぱ、当然、その樹形や樹高も左右されることになります。 よく小品鉢植の樹高が問題にされますが、樹高とは、その樹の立ち上がりの様子や幹の伸び方(コケ順)、さらにその樹種の枝の伸び方や葉の大きさによって必然的に決定されるものです。 一時、八ッ房種が歓迎されたのもこのためであり、鉢植がそして小品鉢植の樹種が多くの白然の樹種のなかから選択されるのもこのためです。 樹高が小さくなるほど、造形上の繊細さが要求されると述べましまが、その樹種、その樹の幹の形態に適した大きさのうちで、もっともものを目指すとき、その傾向はいっそう強くなります。 素材の、鉢植としての美を表現する限界の小ささを越えたとき、それはミニチュア趣味になります。 例は適切ではありませんが、ウイスキーのミニチュアボトルがありますが、これは酒を飲むという本来の用のために作られたものではなく、小さいことだけが価値をもつものです。 小品鉢植というワクを限定する必要はありませんが、豆鉢にマッチ棒大の樹木を植えて楽しむのはミニチュアであり、その領域はここでいう小品鉢植とは本質的に異なります。 |