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サルナシという種名は、果実がナシによく似ていて、サルが好んで食するのに由来しているという。 マタタビに猫は酔うというが、キウイフルーツなど、マタタビ科全般を好むようである。 また、いわゆるイエネコだけでなく他の猫科の動物、トラやヒョウにもマタタビの効用があるといわれている。 鉢植えの素材としては山採りのものがほとんど。 鉢で長く培養し、樹の充実を図ったものでないと実はつきにくいようである。 [白生地と樹種の概要]サルナシは北海道から九州に至る、全国の低~申山帯に広く自生する落葉性の藤本で、他の樹の枝幹等に絡みついて長く蔓を延ばして生育します。 蔓の繁茂力は旺盛で、時には周囲の木々を覆い尽くすように繁ります。 幹の直径は数㎝あるいは古木ではそれ以上になります。 5~7月、葉腋に五弁の白色花を集散花序に4~7個くらいつけ、雄弁と両性花(あるいは雌花)が混在します。 つまり雌雄異株ではなく、雌雄同株の藤本です。 果実は淡黄緑色で、長さ2~3㎝になり甘味があって生食でき、結構美味です。 ちなみに、本種に近縁で中国原産のシナサルナシを園芸的に改良したものがキウイフルーツで、果実や蔓、葉などの概観は、サルナシにも大変よく似ています。 サルナシは、時に庭園や公共の緑化用にフェンス仕立て等にして利用されています。 [仲間の樹種]サルナシはマタタビ科に属しますので、当然マタタビの仲間です。 我が国に白生する近縁種としては、マタタビの他、ミヤママタタビ(マタタビよりも深山に生じる)、シマサルナシ(暖地の沿岸地に多く生じる)等があり、栽培果樹として有名なものにキウイフルーツがあります。 マタタビ科に共通の特徴として、葉痕がイボ状に盛り上がり、落葉期はその申心のくぼんだ部分に冬芽が埋もれているように生じます。 従って、冬季でも他の樹種と比較的容易に識別できます。 なお、マタタビとサルナシの区別点は、まずマタタビは開花期に葉が白変するのに対してサルナシは緑色のままであること、葉質がマタタビは薄くサルナシは厚いこと、花はマタタビはー~3個しかつけないのに対してサルナシは4~7個を集散花序につけることそしてサルナシの果実は先端が尖りマタタビは丸くて尖らない点が異なります。 [特徴的形態と観賞]サルナシを鉢植えに仕立てた場合の主な観賞対象として、その花をあげることができます。 この仲間は、マタタビ、キウイフルーツを代表格として、ともするとその果実が有名で注目されがちですが、開花期に野生品に出会った時など、葉陰に咲く清楚な花を目にして、よくよく見るとその美しさに、つい何の樹かと確認してしまうこともあるほどです。 もちろん、長めの果柄をつけて蔓からぶら下がる果実も捨て難いものがありますが、熟しても鮮やかな黄色や赤色系にならないために、あまり目立たないのは残念です。 樹形としては、本来藤本であるために、模様木を中心として、懸崖、文人風など、かな り幅広く仕立てることが可能と思われます。 なお、もともと病害虫の発生が少なく、樹勢も比較的強いので、培養はしやすい樹種といえます。 |