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前ページの枝の短縮技法よりもさらに、プロの裏技といえるのが、ここに示す幹の短縮技法である。 この技法白体の歴史は古く、真柏の山採り全盛時からすでにあったといわれている。 ただそれは一般に公開されることはなく、趣味家が白ら植え替えをする際に、鉢の中の不思議な根の状態から、特殊技法の存在を類推したにすぎなかった。 多くの山採り真柏は、その風雪の厳しい白生地において、絶壁の岩棚から下垂気味に生存していたものである。 つまり天地は逆になっていたのである。 そして崖下を望むように伸びた直線的な立ち下がりは、鉢植え仕立てのうえでの難点となっている。 本来、その幹味を生かせるものなら無理をすべきではないが、文字通り舎利幹の切断はプロの裏ワザである。 接ぐ、蘇える、ほしい所に枝がない。 一枝の枝接ぎで樹は見違えるほど変貌する。 この技術は葉性の衣替えにも。 真柏ではよくその葉性が問題にされる。 葉色、葉組の粗密、杉葉の出やすいタイプなどがその間題点である。 もちろん、培養や肥培、管理によって変化する面もあるが、本来の性質までは変えられない。 そこでまったく別の固体の葉に変えてしまうのが、いわゆる「衣替え」という技法である。 つまり、枝接ぎである。 この技法白体は別に目新しい技術ではない。 しかし真柏の場合、とくに山採り素材で締めて培養されているものは、形成層が薄く、枝接ぎの成功確率は高くない。 このため、衣替えの場合でも、ここに紹介したように樹形構想上どうしても必要な場所に枝がほしい場合でも、複数個所の枝接ぎを試みる必要がある。 そのうちひとつでも成功すれば、真柏では一芽からでも充分な枝づくりの展開が可能なだけに、こちらとしては万々歳なのである。 針金かけ整姿は樹への基本的なしつけ作業である。 しかし待てば樹はやがて、その強制を克服する。 改作、大胆な針金かけや剪定は、樹姿を一変させる醍醐味がある。 鉢植えづくりにおけるもっとも派手で晴やかな一面である。 とくに長く放置された鉢植えや、手入れが不適切であったために樹姿が乱れてしまったものは、改作や整姿によって、一時的に見違えるようになる。 こうした作業は基本どおりに的確な処置をしておかなければならない。 ただこうした作業直後の樹姿は、どうしても人為的な痕跡が残り、鉢植え本来の白然感を取り戻すには、時間を要する。 とかく間違われやすいが、プロが改作を行い、整姿したばかりの樹姿をもってその腕前を判断するのは早計である。 あくまでも整姿後の培養を経て、葉組みがほぐれ、人為の痕跡がうすれ、白然感を取り戻す期間をプロは想定しているのである。 このことは強調しても強調しすぎることのない事実である。 植え替えを含め、整姿剪定を適切な間隔をおいて行うことによって、徐々に樹勢の平均化を計るのが鉢植えづくりの本質である。 そのことによって、徒長枝も出なくなり、日々の手入れも簡略化してくるのである。 |