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商取り引きは簿記を必要とする。 五〇〇〇年前でさえも、たくさんの家畜の群れの持ち主で商人でもある、高位の祭司や都市国家の王たちは、きちんとした「会計簿」に貸し借りや、かれらの動物の売り主や買い主について記録しておくことの必要性を感じていた。 そして、これらの表記法はデータを簡単に書きとめるため、まぎらわしくない記号を必要とした。 このようにして、古代の商取り引きから最大の文明的発明が生まれたのである。 寺院に出入りする商人たちは、私たちの文字の前身である絵文字を発明した。 動物の取り引きでひんぱんに使われる言葉や概念、たとえば群れとウシ、雄ウシとヒツジ、豚とヤギ、ロバとイヌなどには、それぞれはっきりした記号がつけられていた。 メソポタミアでは、会計簿は粘土板、古代の事務員の筆記用具は鉄筆であった。 エジプト人は、そののち、パピルスと毛筆を用いるようになった。 |