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イボタはモクセイ科。 低山によく自生樹がある。 山採りというと印象が悪いが、私有地で許可を受ければ簡単に手に入る樹種である。 手軽な樹で、ベテランも楽しんで作る本格的な小品樹である。 地味だが樹形を様々に工夫すれば一級品も可能。 渋味のある良い樹である。 花は花木とはいえないが、6月ごろに白い総状花がひょいひょいと飛び出して咲き秀逸。 鉢植え界で水蝋樹というのがイボタである。 古木になると荒れ方が面白く、比較的早く荒れ気味になるタイプもある。 古樹は初めて見る人には驚くほど味があり、なかには<イボ幹>のような荒れ方をする性もある。 つまりは本格的な鉢植え樹なのである。 樹勢は強い。 新梢は次々と伸び、これを鋏で切り返しながら作る。 鋏作りのお手本のような樹で、技術を得るにも最適。 鋏の入れ方で出来が違ってくるから、ベテランの人も熱中できるわけである。 作るイボタは多彩。 一点ごとに樹形が違い、仕上げの期間も早い。 畑上げの太幹樹でも4~5年で仕上がる。 まず挿し木苗の作りから見ていくことにしよう。 挿し木}霊舞年。 根元の根の様子のちょっとした工夫や、曲付けにも注目していただきたい。 イボタは太りやすいため、細い曲付けでは後にその曲が消えてしまう。 それよりも、根元の根を特長ある状態にしておいたり(ゴツゴツ飛び出していても後に味になる)、足元の変化くらいで充分である。 イボタの小品はどうしても、ちまちまとまとまった模様樹になりやすい。 飽きのこない様々な樹形(独想的でよい。 例えば太幹でガクリと折れ曲がるような、誰にも真似のできないような樹形も面白い)を構想していただくと楽しいだろう。 畑上げ後5年。 16㎝。 太幹の模様樹。 その枝の様子。 鋏作りの感じがよく出ていて、趣味家向き。 枝の切り戻し方、枝の出し方、二岐に残す部分とギクギクと折れ曲がる1本残しの部分など、参考にしていただきたい。 鋏の入れ方ひとつで全く印象が異ってくる。 取り木のイボタは取り木も挿し木も簡単。 日当たりよく作り、水も肥料も好む。 取り木は5~6月ごろが適期。 暖地では3月ごろからでも可能。 目的の位置に線をつけ、その下を幹の径の幅くらいに環状剥皮する。 ナイフで少し削り込むくらいが安全。 切り口には水苔がバーミキュライトを。 イボタはそれ自体地味なものである。 表現は難しいが、鉢の面白さや樹形の変化なども、長く楽しむためのポイントといえるだろう。 |